アドバンド株式会社 中野道良社長に聞く、優良顧客の獲得に関するケーススタディ(4/4)
「BtoBで優良顧客の獲得を狙う経営者が今すぐ実践すべきこと」
アドバンド株式会社 中野道良社長に聞く、優良顧客の獲得に関するケーススタディ(4/4)
「BtoBで優良顧客の獲得を狙う経営者が今すぐ実践すべきこと」
急成長中の広告デザイン会社で代表取締役を務める中野道良さん。
これまでのインタビューでは、ビジネスを創業してから優良顧客を獲得するまでの戦略について語っていただきました。
今回は、それらを実行するために最初に実践すべき具体的なプロセスについて詳しく伺います。
『中野道良社長に聞く、優良顧客の獲得に関するケーススタディ』
『中野道良社長に聞く、優良顧客の獲得に関するケーススタディ』
目次
- 会社の成長フェーズによって変化する“優良顧客”の獲得戦略とは
- 実績ゼロから新規事業を成功させた集客の極意
- 上場企業との成約に導いた“販促の設計図”と“本当の顧客理解”
- BtoBで優良顧客の獲得を狙う経営者が今すぐ実践すべきこと(当ページ)
最初の一歩は、商品情報を網羅して一つのコンテンツに
最初の一歩は、商品情報を網羅して一つのコンテンツに
(島崎誠:以下、島崎)
今まで優良顧客を獲得するために重要なポイントをいろいろと伺ってきましたが、まずは何から始めるべきでしょうか。
(中野道良氏:以下、中野)
お客さまの課題や自社の商品のこと、それからどのようにすればそれらがお客さまに伝わるかも含めて、ひとつのコンテンツにまとめるのが大事だと考えています。
最初はあまり取捨選択せず、こういう話は何か効果がありそうだなというところを全部書き出すのが重要です。
それを書き出して、グルーピングしてまとめていくと、だんだん相手に伝わりやすいものになってくると思います。
それが商品のコンセプトも含めた、ひとつの商品を売るためのコンテンツになるはずです。
これは完成形じゃなくてもいいんです。
まず全部網羅したコンテンツがあって、そこから例えばリスティング広告をやろうとするのであれば、広告の最初にどういうキーワードを使えば反応が来やすいかとか、あるいは広告をクリックした先にどんな情報があれば足跡を残してもらいやすいかということを考えながら進めていく。
ターゲット層にもよりますが、Webマーケティングみたいな形で作っていくとか、あるいはSNSを使うのが効果的だというのであれば動画にしていくとか、紙媒体の方が効果的だと判断すれば印刷物として作るというように、手段の工夫はいろいろ出来ます。
ですので自社の商品についてなど、伝えることを全部網羅した一つのコンテンツを作っていただくのが最初の一歩かなと思います。
(島崎)
一般のホワイトペーパーやウェビナーに近いと思うのですが、それもテクニックですよね。
作りさえすればいいという意識になりかねない。
実際、ホワイトペーパーなどを見てみても全然面白くなくて読む気になれないということがあります。
そんな中で、中野からいただく資料は優れている。
それはデザインなどいろいろな要素があると思うのですが、どのような工夫をされていますか。
次に、まとめたコンテンツをお客様に沿ってアレンジ
次に、まとめたコンテンツをお客様に沿ってアレンジ
(中野)
コンテンツのままでは単に自社の商品の説明に終わってしまいがちなので、それをお客さまの課題に沿って文章をアレンジしなきゃいけないですよね。
先ほど申し上げたように、お客さまを主語にするとか、あるいはコピーライティングの効果を生み出すルールというやり方はあります。
ですが、ただそのテクニックだけではだめで、そのコンテンツの中での優先順位もあると思うんですよ。
これを最初に出した方がいいとか、あるいはここはセールスの段階で伝えた方がいいってこともありますね。
最初から打ち出し過ぎてしまうと、読んでる人が途中で読むのを嫌になることもありますので、出す順序も考えなきゃいけないんです。
ですのでそういうことも含めた、最終的なアウトプットを考えていかなきゃいけないということが一番のポイントだと考えています。
(島崎)
最初から完成したコンテンツを作るというよりは、今お話されたようなことを意識しながらお客さまを主語にする形で作っていくことによって、まずは“販促の設計図”の一部ができる。
そこから進めていって、最終的には“販促の設計図”が完成して優良顧客を獲得するという流れですね。
出来上がったコンテンツを効果的に届ける郵送DM
出来上がったコンテンツを効果的に届ける郵送DM
(中野)
先ほどホワイトペーパーを例に挙げていただいて、PDFのような電子データをイメージされているかもしれませんが、印刷物でもPDFでも動画でもほとんど関係ないと考えています。
やはり中身で何を伝えるか、読者である見込み客が共感出来るかどうかというのが一番のポイントです。
また、ホワイトペーパーとか動画とかというのは手段の話ですが、それに関してぜひお伝えしたいことがあります。
マーケティング戦略にはプル型とプッシュ型があり、その中でWebサイトや動画はプル型です。
リスティング広告もSEOも、商品を一生懸命探しているお客さまに対しては非常に効果的な受け皿となりますが、商品によってはニーズに気づいていない潜在客だっているんです。
例えばある分野である企業が牛耳っている商品は、結構高止まりしてしまうことがあります。
それから、一見専門家がやってるように見えて、実は大したことない商品もあります。
ですからそこは非常にポテンシャルが大きいんですよね。
われわれ中小企業は、そういう高止まりしている商材をいかに見つけるかが大事です。
一方で、その市場のお客さまたちっていうのは現状に満足しているんですよ。
そういうお客さまたちに対してはニーズを呼び起こさないといけない。
これはWebでは無理なんですよ。
Webというのはニーズがすでに顕在化してる人にとっては非常に効果的で役に立つツールなんですが、ニーズが分かっていない人はそもそも検索しません。
この方々にニーズを知らせる手段は、世の中に一つしかないと思います。
郵送ですね。
たしかにテレアポや訪問営業、あるいは展示会みたいなことをやろうと思えば出来ますし、それからマス広告なんかも可能といえば可能です。
ただ、いろいろなことを考えたときに、例えばマス広告はBtoBのニッチな商売だとコストがかかりすぎます。
それにテレアポとか、最近よくあるコンタクトDMという、問い合わせフォームに送るDM。
これは非常に違法スレスレですね。
告白しますと、私自身も創業当初はメールDMをやっていました。
ですが、非常にグレーゾーンで企業イメージが悪くなってしまいますから、プッシュ型で効果的なのは郵送DMだけだと考えています。
当社の郵送DMは毎年何かしら送っていますが、苦情はほとんどないですね。
やんわり断られたことはありますが、「ふざけるな」とかって怒られることはまずないので。
テレアポでは結構言われるんですよ。
かける方もすごくストレスが溜まりますし、あまり好ましくないやり方です。
(島崎)
第一歩目としてはパッケージ化されたコンテンツを作って、その後に郵送DM。
そこでニーズを喚起するような資料や冊子を作れると、より安定しますね。
反応が来るようになれば、優良顧客の獲得にもつながるし、潜在的なニーズを掘り起こしたら競合も少ないでしょうし。
まずは資料を作るんですけど、それでニーズを喚起できるようになるまで改良し続けることが重要なのかなと、話を聞いていて思いました。
(中野)
一歩目としては、先ほど申し上げたようにまずはコンテンツを抜け漏れなく、知恵をふり絞って、あるいは知識を吸収しながら効果的なものは何かを洗い出すことですね。
その後は出来ることからやっていくという形です。
出来ることとしては、ホームページの改修が一番簡単だと思います。
ただ、これだけだとなかなか効果がありません。
ニーズが顕在化している場合であれば、検索した人に対してリスティング広告などで自社を知ってもらいましょう。
ニーズが潜在的である場合はプッシュ型、先ほど申し上げた郵送ですね。
特にBtoBは取引したい企業がだいたい決まっていると思うんですよ。
そのため送り先も選別しやすいんです。
BtoBの場合は送り先の数も限定されますので、郵送費だけ考えると大体1通100円ぐらいで済みますから、そんなにお金をかけずにキャンペーンを打てます。
郵送する印刷物をすごく立派なものにする必要はありません。
私たちの場合は制作物を売っているので、そういった印刷物もある程度立派な体裁で作っていますが、商材によってはお手紙みたいな形で送るだけでもホームページへ誘導することは出来ると思います。
これを可能にするのがコピーライティングです。
コピーのみで誘導することは如何様にでも出来ると思っていますので、やってみる価値はかなりあるんじゃないかなと。
帝国データバンクのリストを活用すれば、ニッチなビジネスの集客が化ける!?
帝国データバンクのリストを活用すれば、ニッチなビジネスの集客が化ける!?
(島崎)
私も試してみたいです。
発送先リストはどのように用意していますか。
(中野)
自社で作っていた時期もありましたが、今は帝国データバンクさんから購入しています。
(島崎)
帝国データバンクさんでは業界別のリストも買えるのですか。
(中野)
これが面白くてですね。
リストの選び方は色々あって業界で選ぶことも当然出来ます。
例えば建設業界とか小売業界みたいな形で選ぶことも出来ますし、面白いことに、売上規模でも選べるんですよ。
売上10億円以上の会社とか。
あるいは東京に本社がある会社、というふうにエリアでも選べます。
さらに面白いことには、帝国データバンクさんはもともと企業の調査会社なので、売上や利益のデータを持っているんですよ。
ですので例えば3年連続増収の会社限定とかでもリストを買えます。
そんなことをやっていくと、自社のターゲットに沿った効果的なリストが出る。
購入する費用はかかりますが、成果が出るリストを買えるので十分費用対効果はあります。
(島崎)
リストの選び方自体は、最初の予算を出せる会社とか、結構絞ることも重要なんだろうなと。
(中野)
そうですね。
私が社史のテストマーケティングをしたときも、来年で創業20年になる会社限定みたいなことをやりました。
創業年なんかの情報も入ってますので、そういう形でも購入することが出来ます。
結構面白いやり方が出来ると思いますね。
ですからニッチなビジネスをしている方も、売り先が決まっている場合は、やり方次第で面白い効果が出るかもしれません。
(島崎)
色々な方法があるわけですね。
Webが良い場合もあれば、潜在需要を掘り起こすためにはアナログなアプローチも重要ですし。
企業ごとの商品やサービスに合わせてそうした戦略を選びながらも、パッケージ化されたコンテンツを営業ツールとして作ることはどの業種でも共通してできますから、まずそこからやるといいですね。
(中野)
私の著書『販促の設計図』の中でもノウハウブックの作成をおすすめしていて、当社でも印刷物とPDFの両方で作っています。
印刷物を送る意義としては、やはり物として手元に何かあるのとないのとでは結構違うというのがあります。
私たちも今まで試してみて思ったのですが、印刷物の方は実態がありますので、お客さまに本気度が伝わるんですよ。
それに、回覧される可能性もありますね。
あとは一覧性があるので、一つのブックとして送ることで競合他社よりも優位性を得られると考えています。
一方、PDFは転送していただきやすいというメリットがあります。
大企業の場合、社内の多くの方が商品を発注するかどうかの判断に関わります。
閲覧していただく上で、印刷物を10冊、20冊と送るわけにはいきませんので、PDFが効果的です。
(島崎)
本日は内容の濃いお話をたくさん伺えました。
私自身も実行していくとなると大変ですが、身近に相談出来る相手がいるという心強い状態なので、自分で手を動かして進めていこうかなと思います。
お時間をいただきましてありがとうございました。
(中野)
ありがとうございました。